Vol.12 老人漂流社会!?老後のゆとりある生活を家計簿診断してみる

こんにちは。GENESISアセットレポート担当です。
会社員の生涯賃金は大卒男性で2億8000万円、女性で2億4000万円(労働政策研究・研修機構調べ2012年)と言われています。身近な毎月の家計簿の視点でゆとりある老後の生活を考えてみるとどうなるか、今回はみてみたいと思います。

「ゆとりの老後」のためには月36万6000円が必要?

「ゆとり老後」のためには月36万6000円が必要──。
新聞や雑誌などでこうしたニュースを何度かご覧になった経験を皆さんお持ちだと思います。しかし老後の生活についてなかなか生活実感がなく、そんなに必要?、どうしたらいいの?という印象を受ける方が多いでしょう。
しかし、先日のNHKスペシャル『老人漂流社会”老後破産”の現実』(2014.9.28放映)で大きな反響があったように、老後の「安心」については現実に大きな問題となっており、今後団塊の世代が後期高齢者となっていく今から10-20年間で更に厳しい現実に直面することになるはずです。
現役時代からの生活費の見直しとキャリアの積み方に、老後の「ゆたかさ」と「安心」がかかっているといっても過言ではないのです。
具体例をあげてシミュレーションしてみます。
現在58歳、年収手取り600万円の会社員Bさんのケース。1歳年上の妻は専業主婦。子どもは独立している。貯蓄は1500万円あり、退職金は1300万円もらえる。定年退職後は65歳まで年収300万円(月25万円)の嘱託として残ることができる。65歳以降は年金の280万円(月23万円)で生活することになる。Bさん夫婦は老後の生活費を月額25万円と見積もっている。80歳まで毎年100万円かけて16回海外旅行へ行き、自宅のリフォームを2回、総額400万円かけて行い、2人の子どもには結婚時に援助金として200万円ずつ渡すつもりでいる。
貯蓄と退職金の合計が2800万円なので安楽に暮らせると思っていたら、77歳で赤字に転落することがわかった…。

Bさんの家計簿を診断した結果、改善アドバイスは比較的対応しやすいものです。
つまり「生活費25万円を22万円に減らし、年100万円の旅行費を70万円に抑えること」となります。毎月3万円節約すれば年間で36万円、15年間で540万円、旅行費を30万円減額すると16回分で480万円浮くことになり、赤字転落の時期を87歳まで先延ばしできるのです。

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出典:総務省「家計調査報告2011」、生命保険文化センター「生命保障に関する調査2010年度」

65歳70歳まで安定収入が確保できるか?年金が予定通りにもらえるか?

さて、嘱託で残れるBさんはともかく、誰でも60歳から65歳までの5年間、年収300万円の仕事が見つかるものだろうか。最も確実な方法は会社を辞めずに再雇用してもらうこと。かつての部下の下で働くこともいとわない気構えが必要になります。
こうして65歳70歳まで安定収入を確保したとしても安心するのはまだ早いと言えます。そもそも23万円の年金を本当に受け取ることができるのか、という大問題が残っているのです。
日本の公的債務は政府保証債務を合計すると1003兆円に達しています。これをいったい誰がどうやって返済するのでしょう。日本が新しい成長戦略を描くことができれば現役世代だって貯金を増やせるのですが、成長戦略も掛け声は大きいのですが、その実態はなかなか現実の生活者に感じられるものではありません。一方、年金受給者の平均寿命が延びていること、物価スライドの実効性が薄いことなど、必要なコストは積みあがる一方です。
つまり、Bさんのケーススタディにある月23万円の公的年金も、20-30年後には予定通りもらえるのかどうか、不安もあるのです。
こうしてみると、公的年金をあてにせず「自助努力で生活するしかない」という時代がいよいよ到来しているのではないでしょうか。
老後破綻とならず、ゆとりある老後を送るには、現役時代からの生活費の見直しとキャリアの積み方にかかっているといっても過言ではないのです。