作り笑いでも長寿に

ストレスがたまると免疫の働きが低下して風邪にかかりやすくなるという研究結果がある。それに加え、10年位前に米国で発表されて注目された、笑顔が寿命に影響するという事を実証した研究も、こころと体の密接な関係を裏付けている。1950年以前にプレーを始めた大リーガーの選手名鑑の写真の表情を、「笑顔なし」「部分的なほほえみ」「満面の笑顔」に分けて、2009年までに亡くなった選手の平均を調べた研究だ。その結果、「笑顔なし」の選手の平均寿命が72.9歳に対して「満面の笑顔」の選手の平均寿命は79.9歳で7年も長生きしたことが分かった。満面の笑顔が選手の自発的なものなのか、周囲からの働きかけによるものかは不明だが、笑顔になるこころの状態が身体にも良い影響があることをしめす結果だ。もうひとつ興味深いのは、「部分的なほほ笑み」の選手も、平均寿命が74.9歳と「笑顔なし」の選手たちに比べて長生きしていた点だ。「部分的なほほ笑み」とは口角が持ち上がって一見すると笑顔に見えるが、目じりにしわが寄っていない表情だ。作り笑いだと考えられる。作り笑いでも平均寿命が延びたことから、表情を意識的に変えるだけで身体に影響する。意識的に笑顔になれば周りの人の表情が和らいで場が和むが、自分の身体にも良い影響を及ぼすということを示す研究だ。 (2020.3.9  日本経済新聞)