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2015年3月28日
Vol.22 国交省:2015年公示地価発表

こんにちは。GENESISアセットレポート担当です。
国土交通省は、2015年1月1日時点の公示地価を3月18日に発表しました。このところ株価の高騰が続き、景気拡大を示すような報道が増えるとともに、大手企業のベースアップも相次いでいるようです。その一方で、まだ景気回復を実感できない人も多いのではないでしょうか。景況感の二極化と同様に地価の二極化も進んでいるようです。今回はこの件をレポートしたいと思います。

東京圏は上昇が続くも、立地選別が明確に

 2015年(平成27年)の公示地価について、その主な動きを確認しておくことにしましょう。
3大都市圏では住宅地の47.0%、商業地の69.1%が上昇を示し、住宅地平均は0.4%のプラス、商業地平均は1.8%のプラスで、いずれも2年連続の上昇となっています。
 上昇地点の数(全用途)は7,569で前年の7,102からは増えているものの、前年は約3.5倍の急増を示していたため、かなり勢いが鈍った感じもするでしょう。横ばい(変動率0.0%)地点の数は4,288(前年は3,536)、下落地点の数は11,186(前年は12,379)でした。
 上昇地点の内訳をみると、東京圏が3,478で前年の3,522からわずかに減少、大阪圏が1,000で前年の927から少し増加、名古屋圏が877で前年の861からわずかな増加、地方圏が2,272で前年の1,792から大幅な増加となっています。前年まで2年続けて3大都市圏のなかで最も大きな伸びを示していた東京圏ですが、今年は住宅地の上昇地点が53.9%で前年の56.4%から落ち込みをみせ、商業地の上昇地点は77.2%で前年の75.5%から少し増えています。

 東京圏全体では、住宅地がプラス0.5%、商業地がプラス2.0%となり、いずれも2年連続の上昇でした。とくに東京23区は住宅地、商業地ともすべての地点が上昇となりましたが、住宅地の上昇率は前年の0.7%よりも縮小しています。
 東京圏にフォーカスしてみると、東京都中央区が6.4%、千代田区が6.3%、港区が6.0%の上昇など、都心部での地価上昇が目立っているのは前年と同じですが、それに次いで千葉県君津市が5.1%の上昇でした。東京湾を挟んだ対岸側の神奈川県三浦市が東京圏で最も大きな下落になったのとは対照的です。
 東京圏の住宅地で上昇率が大きかった上位10地点のうち5地点を千葉県木更津市が占め、他は東京都港区と中央区の地点でした。前年は中央区勝どき、佃、月島、江東区豊洲など湾岸エリアが目立っていましたが、今年はようやく10位に勝どきが顔を出すだけになっており、五輪開催の影響は小休止といったところでしょうか。

 

住宅地の市区別平均をみると、東京都は青梅市が前年の横ばいから0.3%の下落へと悪化したものの、それ以外はすべて上昇しました。神奈川県は横浜市、川崎市、相模原市ですべての区が上昇したほか、藤沢市、鎌倉市など5市が上昇となっています。埼玉県ではさいたま市、川口市、所沢市など13市、千葉県では千葉市、木更津市、君津市など13市が上昇となっています。

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全国における公示地価の最高価格地点の銀座四丁目は上昇率14.2%

 商業地の市区別平均では、東京都がすべての区市で上昇、神奈川県、埼玉県、千葉県でも多くの市が上昇しています。しかし、住宅地ほどではないものの上昇率の縮小・下落への転換・下落率の拡大といった「マイナス方向への変移」もいくつかみられます。
東京圏の商業地における上昇率上位10地点のうち、8地点を中央区銀座が占めました。前年も銀座の5地点が10位以内に入っており、他のエリアとは対照的に高額エリアでの上昇傾向が強まっているといえるでしょう。
 全国における公示地価の最高価格地点は、前年までと同じく中央区銀座四丁目(山野楽器銀座本店)です。その上昇率は14.2%で東京圏において最も大きな伸びを示し、1坪あたりの公示地価は1億円を超えました。

公示地価とは

 公示地価とは、地価公示法(昭和44年法律第49号)に基づき、国土交通省による土地鑑定委員会が毎年1回公示する、1月1日時点における標準地の価格で、公共事業用地の取得価格算定の基準とされるほか、一般の土地取引価格に対する指標となることを目的としています。
2015年の公示対象市区町村は1,376(東京23区および785市530町38村)、対象地点の数は前年と同じく23,380(うち320地点が選定替え)となっています。ただし、このうち原発事故による避難指示区域内の17地点については、引き続き調査が休止されています。
 公示地価はその土地本来の価値を評価するため、現存する建物などの形態に関わらず、対象土地の効用が最高度に発揮できる建物などを想定したうえでの評価がされることになっています。
なお、公示地価についての詳しい内容は、国土交通省の「土地総合情報ライブラリー」にアクセスすることで、1996年(平成8年)以降のものを見ることができます。